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キャッシュレス決済は現金払いの6分の1で支払いが完了!?決済速度の実証実験結果考察

 現金払いかキャッシュレス決済か?

この議論は長い間続いており、日本では未だに現金派が多いという現実があります。紛失・盗難時の補償、決済スピード、明細の自動作成による支出の管理、衛生面など、全ての面において、キャッシュレス決済は現金払いに優っています。このことは、以前の記事で詳細に解説しました。

現金払いは損で、クレジットカード払いは得なのか?

キャッシュレス決済は日本に着々と浸透している!JCBの調査結果が証明

 先日、JCB がキャッシュレス決済の決済速度の実証実験を行い、その結果をプレスリリースにて発表しました。その結果、キャッシュレス決済は最短で現金払いの6分の1の時間で決済が完了するという結果が出ました。言い換えると、現金払いの客はキャッシュレス決済客の4倍の時間を決済で浪費しているということです。衝撃的な数字ですね!

 この記事では、この JCB の決済速度に関する実証実験結果の解説と考察をしていきます。

実験概要

実験名:決済速度に関する実証実験
日時:2019/7/22
対象者:20~40代の男女((株)GMOリサーチ、ジャパンクラウドパネルより採用)
手段:(1)現金、(2)クレジットカード(JCB)、(3)非接触型(QUICPay)、(4)QRコード(代表的なQR決済サービスより4種類を使用)
決済手段ごとに25名
 
※原則、「レジ担当者の金額口頭提示」から「商品・レシートのお渡し」までを一会計として計測
※クレジットカードはサインレス、QRコードは代表的なQRコード決済サービスより4種類を使用。

実験結果

 それぞれの決済方法の所要時間は以下の通りでした。

(出典 (以下の画像も全て同じ出典元):決済速度に関する実証実験結果)

 このように、4種類の決済手段の中で現金払いが最も時間がかかり、非接触型決済が最も短時間で決済が完了していることが分かりました。現金払いの最大所要時間は40秒、非接触型決済 (QUICPay) の最短所要時間は6秒なので、最大で6.6倍の差があります。両者の最大所要時間を比べても、非接触型決済は10秒に対して現金は40秒なので、4倍の差があることが分かります。平均所要時間を比べると、非接触型決済は8秒に対して現金は28秒なので、3.5倍の差があります。

キャッシュレス平均 vs. 現金

 次に、キャッシュレス決済の平均所要時間と現金払いの所要時間を比較します。

(出典元:上記画像と同じ)

 キャッシュレス決済は12秒かかるのに対して、現金は28秒かかっているので、その差は2.3倍です。QRコード決済などはアプリを立ち上げる手間があるのでどうしても時間がかかってしまいますね。先程のデータから、QRコード以外のキャッシュレス決済の平均を取り出して、比べてみましょう。

 非接触型決済8秒 + クレジットカード (サインレス)12秒 / 2 = 20 / 2 = 10秒

非接触型決済とクレジットカード払いの平均所要時間は10秒です。これと現金払いの平均値である28秒を比べると、2.8倍の差があります。約3倍ですね。ほんの数秒の差とはいえ、毎日積み重ねるとかなりの時間になります。

現金払い客は年間で約3時間浪費している

 先程のキャッシュレス決済の平均値12秒と現金払いの平均値28秒を元に、JCB が試算をしたところ、日常の買い物を現金払いからキャッシュレス決済に変えることで、年間で約3時間の自由時間が増える、という結果が出ました。逆に言うと、現金払いの客は年間で約3時間無駄にしているということです。JCB が使用した計算式は以下の通りです。

  現金とキャッシュレス決済速度の差(16秒)× 日本人の1日あたりの平均買物回数(1.7回)× 365日 = 9,928秒 → 2.8時間 ≒ 3時間

(本実証実験に伴い全国の20代~60代男女の1日あたりの平均買物回数を調査、1.65回 ≒ 1.7回)

キャッシュレス客が増えるとレジ担当者の労働時間が4時間減少する!

 続いても興味深い試算を JCB が行いました。

前述の現金とキャッシュレスの決済速度の差をもとに、会計(レジ)担当者の労働量について試算したところ、1日の会計(レジ)業務において、消費者の半数がキャッシュレスで支払いをすると、従業員1人あたりの労働時間は約2時間減少。消費者全てがキャッシュレスで支払いをすると、労働時間は約4時間減少することが判明しました。

コンビニの1日の来店数を元に試算した、JCB の計算式は以下の通りです。

  1日のコンビニエンスストア来店数(848人、日本フランチャイズチェーン協会より)× 現金とキャッシュレスの決済速度の差(16秒)= 13,568秒 → 3.8時間  ≒ 4時間

 現金払い vs. キャッシュレス決済について述べた以前の記事内で、現金払いは客本人だけではなく店員や後ろに並んでいる周りの人々の時間も奪っている、と述べました。まさにこの通りですね。今回の試算では店員の時間のロスしか計算に入れていませんが、これにレジ待ちの列に並んでいる人々の時間の損失を加えると、とんでもない結果が出そうですね。テレビなどの王手メディアが何故この話題に触れないのか、私には理解出来ません。自由時間が増えれば、もっとテレビを見てくれるかも知れないのにww テレビの扇動 (洗脳) の力は凄いですからねw

全ての就業者がキャッシュレス決済を行うと、年間で約100万時間浮く

 次に、キャッシュレス決済が日本経済に与える影響についても JCB は試算しました。現金払いによる時間損失と、その時間を労働に充てた場合にどれくらいの価値があるかを述べています。

消費者が現金払いを続けると、日本全体では1日約22億円分、年間で約8000億円分の時間をロスしていることがわかりました。
決済手段を完全にキャッシュレスへ移行することによって、時間が創出され、労働に充てた場合1人あたり年間約12,000円相当の価値となる可能性があります(※11)。

 

 計算式は以下の通りです。

  日本の就業者数(6747万人、労働力調査より)× 現金とキャッシュレスの決済速度の差(16秒)× 日本人の1日あたりの平均買物回数(1.7回)× 2(消費者側、店舗側のロス)= 36.7億秒 → 101.9万時間 ≒ 100万時間


日本人の平均給与(420万円、民間給与実態統計調査より)
時給換算 → 4200000÷245÷8 = 2143円 ≒ 2150円


1日の損失額 → 100万時間×2150円=21.5億≒22億

 

 

※11

以下の計算式に基づいて算出
8000億円÷6747万人=11,902円≒12,000円

 

 キャッシュレス決済に移行することで、1人当たり年間で約12,000円相当の労働に充てられる時間を獲得出来るそうです。イマイチ魅力的に感じませんねw

 

おまけ:全被験者の決済速度計測データ

 今回の実験の参加者達の被験者毎の決済時間計測データです。結構なばらつきがあることが分かります。

(出典:上記画像と同じ)

まとめ

 JCB が行なった、現金、クレジットカード (サインレス)、非接触型決済、QRコード決済の決済速度に関する実証実験結果から、以下のことが分かりました。

  1. 非接触型決済は現金払いと比べて、最大で6.6倍速い。(平均値では4倍速い)
  2. キャッシュレス決済 (クレジットカード、非接触型決済、QRコード決済) の平均値と現金払いの平均値を比べると、キャッシュレス決済の方が2.3倍速い。(QRコード決済を除き、クレジットカードと非接触型決済だけの平均値を現金払いと比べると、2.8倍速い。)
  3. 現金払いとキャッシュレス決済の所要時間の平均値の差は16秒で、年間では約3時間の差となる。つまり、現金払いの客は年間で約3時間浪費し、キャッシュレス決済の客は約3時間の自由時間を得る
  4. キャッシュレス決済の客が増えると、従業員の労働時間は1日で4時間減少する。
  5. 全ての就業者が完全にキャッシュレスに移行すると、年間で約100万時間浮き、この時間を労働に充てると、1人当たり年間で12,000円分の労働時間になる。

 

 現金払いにはメリットは全く無いです。キャッシュレス決済に移行して、年間約3時間の自由時間を増やし、家族や大切な人と過ごすなど有効に使いましょう。現金払い vs. キャッシュレス決済の論争は、こちらの記事で詳しく解説しています。こちらの記事では、クレジットカード決済と電子マネーの比較して、どちらがより便利でお得かを議論しています。

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