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キャッシュレス還元事業によりキャッシュレス決済利用可能店舗は増えたのか?中間調査結果を考察


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キャッシュレス・ポイント還元事業

 2019年10月1日より、消費税の増税に合わせて、消費とキャッシュレス決済の普及を促進する目的で、「キャッシュレス・ポイント還元事業」(以下キャッシュレス還元事業) が開始された。対象の店舗 (ネット含む) で買い物をし、支払いにキャッシュレス決済を利用すると、最大で5%キャッシュバックまたはポイントバックを得られるという、とてつもなくお得な政策だ。

しかし、この政策がどの程度キャッシュレス決済を普及させたのか?という疑問に対する明確な答えは出ていなかった

 この政策が開始から、約3ヶ月が経ったところで、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が、キャッシュレス還元事業がどのような変化をもたらしたかを調査したアンケート結果を公表した。

 この記事では、2020年1月10日に公表されたこのアンケート結果を考察し、キャッシュレス還元事業により、キャッシュレス決済を利用可能な店舗の数は増えたのか、キャッシュレス決済の利用客は増えたのか。消費者の支払い方法はどのように変化したのか、キャッシュレス決済導入のデメリットは何か、という疑問の答えを探る。

*この記事で使用されている数字や画像は、このアンケート結果から引用したものです。

キャッシュレス決済利用可能店舗は増えたのか?

答えは、Yes

調査対象となった、政令指定都市、東京23区、人口20万人以上都市、人工10万人以上都市、人工10万人未満都市、町村部の全ての地域で、キャッシュレス還元事業前よりも期間中の方が、キャッシュレス決済利用可能店舗の割合は増えています

 

日本全体では、キャッシュレス還元事業開始前には26.7%だったのが、キャッシュレス還元事業期間中には31.2%に増えています。内訳は以下の通りです:

政令指定都市・東京23区:27.8% → 32.8%

人口20万人以上都市:26.3% → 28.3%

人工10万人以上都市:27.9% → 32.6%

人工10万人未満都市:24.9% → 29.6%

町村部:23.3% → 31.1%

 町村部においては、約8%増加していますね。

 しかし、もっと驚くべきことがあります。日本全体で、キャッシュレス決済を利用可能な店舗は、たった31.2%しかないんです!!

信じられません!!

今回のアンケート調査に協力した店舗しか調査結果に含まれていないとはいえ、あまりに小さい数字だと思いませんか?街中を歩いていて3つの店を見つけた時に、キャッシュレス決済を使えるのはその中のたった1店のみです。2020オリンピックで、外国人観光客が大量に押し寄せた時に、キャッシュレス決済に対応している店舗は大きく儲けて、対応していない店舗はあまり儲からなくなる、という未来が容易に想像出来ます。日本政府が、キャッシュレス還元事業を行ってキャッシュレスを促進しようとした理由が分かるような気がします

キャッシュレス決済利用客は増えたのか?

こちらも、答えは Yes

週に1回以上の頻度でキャッシュレス決済を利用していると答えた人の割合は、日本全体では、キャッシュレス還元事業開始前には58.1%で、キャッシュレス還元事業期間中は63.8%と、5.7%増加しました。

一方で、キャッシュレスを利用しないと答えた人の割合は、キャッシュレス還元事業前には16.1%でしたが、期間中には14.6%に1.5%減少しました。まだまだ現金派の人が多いようです。

年齢別に見てみると以下の通りです。

全ての年代において、キャッシュレス還元事業前よりも期間中の方が、キャッシュレス決済を利用すると答えた割合が増えています。

10代だけ、他の年齢層と比べてキャッシュレス決済の利用頻度が著しく低いです。これはおそらく、18歳未満の高校生以下で、年齢制限の理由で未だクレジットカードやデビットカードを作ることが出来なかったり、現金チャージを利用してまで、各種Payを利用するのは面倒だと感じているのではないかと思います。

私自身、色々なPayを利用していますが、最も手軽で利便性が高いのは、やはりクレジットカードやクレジットカードを登録したApplePay (QUICPay や iDなどの後払い式電子マネー) だと感じます。チャージの手間が無く、アプリを立ち上げる手間も無いのは大きいです。JCBが行った各種支払い方法の決済速度の実証実験でも証明された通り、後払い式の電子マネーは決済速度が最も早く、利便性に優れていると言えます。

最も人気の支払い手段はどれか?

「キャッシュレス決済」という言葉には、現金や商品券以外の、ありとあらゆる電子的な支払い手段が含まれています。この中で、週に1回以上利用されている最も人気がある支払い手段は、クレジットカードでした。キャッシュレス還元事業期間中の各種支払い方法の利用者の割合は以下の通りです:

クレジットカード:33.8%

デビットカード:2.8%

交通系電子マネー (電車・バス利用時):13.3%

交通系電子マネー (物販):6.1%

交通系以外のプリペイド型電子マネー:19.1%

バーコード決済:13.2%

 

クレジットカードが最も頻繁に利用されている理由は、利用加盟店の数だと思います。現状では、各種支払い方法が使える店舗数は以下の通りとなっています。

バーコード決済が使える店の数 < 電子マネーが使える << クレジットカードが使える店

私が普段買い物をしている店舗では、クレジットカードは使えるけど電子マネーは使えない店が多数あります。加盟店数の多さから、クレジットカードは未だに最も頻繁に使われているのではないでしょうか

個人的には、電子マネーが使える店も増えて欲しいと思います。最も決済が速く終わるとJCBが証明した後払い式電子マネー (iD や QUICPay など) での支払いは、本当に一瞬で終わります。アプリの立ち上げ不要。iPhone や Apple Watch かスマホを出して、顔認証や指紋認証をしてから端末にかざすだけです。支払いにかかる時間は、なんと現金払いの6分の1 (最短) です!

モバイルSuicaなどのプリペイド式電子マネーは、後払い式電子マネーよりも体感ではより速く決済が終わります。実際、後払い式電子マネーの場合は、紐付いているクレジットカード会社と通信して決済の承認をもらう必要がありますが、プリペイド式電子マネーはその必要がありません。カード会社との通信が不要な分、プリペイドの方が決済速度が早いのかも知れません。

キャッシュレス還元事業によって、支払手段はどう変化したのか?

数多く存在する支払手段の中で、キャッシュレス還元事業の前と期間中で大きく利用者の割合が変化したものがありました。それがバーコード決済です。キャッシュレス還元事業開始前の使用率 (週に1回以上) は8.2%だったのに対して、期間中は13.2%まで上昇しています。5%の上昇です。その他のキャッシュレス決済手段は、キャッシュレス還元事業開始前と期間中で、それほど大きな変化は見られません。

クレジットカード利用率は + 2.2%、デビットカードは + 0.3%、交通系電子マネーの電車・バス利用は + 0.9%、交通系以外のプリペイド式電子マネーは + 1.5%となっています。

PayPay をはじめとするバーコード決済において、20%還元などのキャンペーンを頻発した結果、少なくとも一時的に利用者の割合が増えたのではないかと思います。

私個人としては、バーコード決済は生き残らないと考えています。その理由は、「めんどくさい」からです。基本的にプリペイド式なので、事前にクレジットカードや銀行残高からのチャージが必要になります。また、クレジットカードの利用可能枠と比べると、1回あたりの支払上限額が低く、使い勝手が悪いです。さらに、支払いをするためにアプリを立ち上げて、バーコードを店員に提示するか、店頭のバーコードを読み込み、支払金額をこちらが入力して、支払完了画面を店員に見せる場合もあります。下手すると、現金払いよりも支払いに手間と時間がかかることもあります。決済時間短縮のために、キャッシュレス決済をしているのに、余計に時間がかかっては本末転倒です。ちなみに、私がバーコード決済を利用するのは、大きなキャンペーンがある時と、残高を消化する必要がある時くらいです^^

キャッシュレス決済導入のデメリットはあるのか?

店舗がキャッシュレス決済を導入したことで、それまでにはないある問題に直面しているようです。それは、キャッシュレス決済の入金サイクルの変化による資金繰りです。日本の全地域で、キャッシュレス決済を導入した店舗の22.1%が、キャッシュレス導入に伴い入金サイクルが変化し、資金繰りに困ることがある、あるいは常に困っている、と回答しました。

入金サイクルが早いキャッシュレス決済サービスを導入したり、各種コストの支払いにクレジットカードを利用するなどして、支払時期を調整することで解決できるのではないか、と思います。

結論:キャッシュレス決済は普及している

今回のアンケート結果から分かる通り、キャッシュレス還元事業をきっかけとして、日本でキャッシュレス決済は普及してきている。キャッシュレス決済を使用する消費者は5.7%増加し、キャッシュレス決済を使える店舗は8%増加し、バーコード決済の利用者が5%増えた

とは言え、キャッシュレス決済に対応している店舗の割合はいまだにわずか31.2%、キャッシュレス決済利用客の割合は63.8%にとどまっている。まだまだキャッシュレス決済が浸透しているとは言えないのではないか?本気で日本政府がキャッシュレス決済を普及させたいなら、全ての店舗でキャッシュレス決済の導入を義務化すべきだと思う。実際、キャッシュレスが普及している諸外国では、少なからず政府からの援助や強制力があって、キャッシュレスに対応している店舗が増えてきた。

合わせて、悪質なクレジットカード加盟店への取り締まりを強化する必要があると思う。クレジットカードの支払いに対して手数料を要求したり、時間帯を制限するなど悪質な加盟店が後を絶たない。Twitter などのSNSでよく、「ランチ時間帯はカード使えません、と言われました」などの書き込みを目にすることがある。

日本では、クレジットカードでの支払いに対して手数料を客に要求したり、クレジットカードの利用可能時間帯や下限金額を制限したりする行為は、カード加盟店規約違反にあたる。このような行為を発見した場合は、速やかにカード会社に通報しよう。JCB カードや三井住友カードでは、ホームページ上の問い合わせフォームからの問い合わせが可能だ。カード会社に問い合わせることで、カード会社からの調査が入り、違反行為を行なっている店舗に対して是正指導が行われる。指導に従わない場合や悪質な場合は、加盟店契約を強制解約されることになる。

クレジットカード利用に対する手数料の請求や制限をかけることが、規約違反であるということを認識し、親しい人々と共有することで、悪質な加盟店を減らすことが出来る。1人でも多くの人が、クレジットカードに関する正しい知識を身に付け、正しく使って欲しいと強く願う。

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私はクレジットカードを40枚以上発行してきました。日本で発行されているほとんど全てのクレジットカードのポイント還元率、年会費などの情報が頭に入っています。還元率が2%以上のクレジットカードを使い、年間で30,000ポイント (=30,000 円相当) 以上貯めて、お得な生活を送っています。

そんなクレカマニアの私も、初めてクレジットカードを作った時はとても不安でした。

大学生時代にアメリカ留学が決まり、現地での買い物用にクレジットカードを発行することになった時、挫折しそうになりました。クレジットカードってどんな仕組みなのか?審査に通るかな?

ネットで色々調べましたが、あまりの情報量の多さに、面倒に感じましたが、「得をするぞ!」という強い精神力で乗り切りましたww

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作成者: クレジットカード情報提供所管理人

クレジットカードを40枚以上発行してきたクレカマニア。クレジットカードのキャンペーン情報や、ポイント・マイル還元率を計算することが趣味。最近はエポスプラチナカードやラグジュアリーブラックカードの券面を眺めてニヤニヤしてます。クレジットカードの基礎知識、仕組み、ポイント還元率、色々なカードの使用感をレビューします。
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